NHK大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、最近注目を集めている平安時代の貴族の生活。最近までは高級貴族は贅沢三昧で運動不足なので肥満し、糖尿病のような成人病を患って死んだとされてきましたが、極端な栄養の偏りも原因であったようです。今回は現代人にとっても他人事ではない平安貴族の病を解説します。
一日三食、食事は糖質と塩分過多でビタミン不足
平安時代、庶民の食事はまだ一日二食でしたが、貴族は三食に移行していたようです。貴族でも高級貴族となれば、自分が食べたい食材をなんでも食べられそうですが、盆地である京都は海から遠いので、食中毒を恐れて肉も魚も乾物にして食べていました。つまり、新鮮な食材は平安時代では自分で狩猟しない限り、望むべくもなかったのです。また平安時代の貴族は、御酒、御井酒、醴酒や三種糟、白酒のような酒を飲んでいましたが、これらの酒は甘く、糖度が高く、後の味醂のルーツになっていました。総合してみると平安貴族は乾物から塩分を酒から糖分を過剰に摂取しビタミンは不足、仕事も座り仕事ばかりで運動をしない、まるで現代人のような生活を送っていたのです。
蔓延した脚気や糖尿病
まるで現代人のような生活をしていた千年前の平安貴族が患う病気は、当然、現代人と同じようなものになりました。藤原道長や兄の道隆は常に喉が渇き、水をがぶ飲みする糖尿病特有の症状に苦しみました。また道長は糖尿病の進行で晩年は、モノがぼんやりとしか見えなかったようです。もう一つ、平安貴族を襲った病気は脚気です。これは、現代人には馴染みがありませんが、ビタミンB1 が不足して起きる病気で、ビタミンB1が含まれる麦や豚肉を食べると改善されますが、当時はそんな知識はなく悪化すると心臓麻痺で死んでしまう恐怖の病気でした。
適度な運動とバランスが良い食事
平安貴族は安楽でノホホンと過ごしていたように見えますが、一族同士でも足を引っ張り合う熾烈な出世競争の世界であり権力を得ると、強いストレスを感じたようです。過度な塩分や糖分と運動不足、そしてストレスでは病気になるなというのが難しいでしょう。しかし、21世紀に生きる現代人には平安とは比較にならない程に進歩した医学の知識があります。貴族たちを反面教師に今日からでも食事を見直し運動を心掛け、ストレスを軽減する生活を実践しましょう。
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