東京裁判で唯一「日本無罪」を主張したインドのパール判事。彼が本当に裁こうとしたのは、被告人席の日本人ではなく、勝者が敗者を裁く「東京裁判そのものの正当性」でした。
この記事の目次
パール判事が裁いたのは「日本」ではない
東京裁判において、判事たちの中で唯一の国際法の専門家であったインド代表のパール判事。彼は、戦勝国である連合国側の判事たちの中で唯一「被告人全員無罪」という判決を下しました。多くの日本人はこれを「日本は戦争で悪いことをしなかった」という意味だと捉えがちですが、パール判事の真意は少し違います。彼が焦点にしたのは、日本という国そのものではなく、「東京裁判という裁判自体が法的に正当であるかどうか」だったのです。
- パール判事は、東京裁判の判事の中で唯一の国際法の専門家でした。
- 彼の主張は「日本は悪くない」という単純な擁護ではなく、「この裁判の前提が法的に成立していない」という法的根拠に基づくものでした。
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あり得ない「共同謀議」を徹底的に論破
連合国側は、A級戦犯28名を「1928年から1945年までの17年間、一貫して侵略戦争を共同謀議(共謀)し、実行した」として「平和に対する罪」で裁こうとしました。しかしパール判事は、これに真っ向から反論します。被告とされた28名の中には、互いに一面識もない者や、政治的に対立していた政敵同士も含まれていました。そんな彼らが17年もの長きにわたり、一貫して侵略戦争を企むなどということは、現実的にあり得ないからです。
- 検察側は「28名が17年間ずっと協力して侵略戦争を計画した」と主張しました。
- しかし、被告人たちの中には面識がない者や対立関係にあった者もおり、共同謀議は不可能でした。
- パール判事は、文庫本で1334ページにもなる膨大な判決書の8割を費やして、この「共同謀議」の事実が存在しないことを証明し、東京裁判の無効を主張しました。
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【まとめ】法の専門家としての「無罪」判決
パール判事が出した「日本無罪」とは、日本が行った行為の是非を問う以前に、そもそもこの裁判の起訴内容(共同謀議)に無理があり、裁判として成立していない(無効である)という、法の正義に基づいた結論だったのです。
Q&A:よくある質問
Q. パール判事はどこの国の人ですか?
A. インド代表の判事です。東京裁判の判事団の中で、唯一の国際法の専門家でもありました。
Q. なぜパール判事は全員無罪としたのですか?
A. 日本を擁護したというよりも、検察側が主張した「被告人たちが17年間にわたり侵略戦争を共同謀議した」という事実が証明できず、裁判の根拠そのものが成立しないと判断したためです。
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