おせち料理と言えば、黒豆、きんとん、タケノコ、数の子、昆布巻き、伊達巻きカマボコや錦玉子がありますね。いずれも、どちらかというと柔らかい料理が多いですが、一種類だけゴボウという繊維質で固い料理が入っています。これはどうしてなのでしょうか?
異端に見えるゴボウですが、実はゴボウこそが古い時代のおせちでありゴボウ以外は江戸時代の新参者なのです。古来、おせちは歯固(はがため)と言いました。これは固いものをよく噛んで食べて歯を丈夫にして長生きするという意味と年齢を意味する「齢」という文字に歯が入っているので歯を固めるが齢を固める=長生きするという縁起を担いだのです。そんなわけで、昔のおせちは意図的に固く、歯ごたえがあるものが選ばれました。
平安中期の貴族、源高明が書いた「西宮記」には当時のおせちとして、大根や瓜の味噌漬け、鹿や猪の乾し肉鮎の塩干など、歯ごたえがありそうな食材が並んでいます。当時の貴族は、おせちをバリバリ言いながら食べていたのです。しかし、おせちも時代が下ると華やかで甘く、柔らかいものへと変化していき現在では、ゴボウだけが古き、歯固の名残を残しているだけとなりました。
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