本日は戦国時代の有名武将の一人、石田三成氏の逸話のお話をさせて頂きます。石田三成と言えば有名な逸話の一つに「柿を断った」という話がありますね。
この話は最後の最期まで諦めない石田三成の思考と、それだけ深い豊臣への忠義を表していると言われていますが……実は別の見方をすると、そこには恐ろしい病気が隠れていた?今回はそんな別側面から、この逸話を見ていこうという次第であります。
この記事の目次
石田三成処刑前に柿をお断りする……その理由は「毒」?
さて石田三成と言えば五奉行のうちの一人、秀吉の関白就任に伴って従五位下、治部少輔に叙任されたことから「治部」とも呼ばれる歴史上の人物。彼は東軍と西軍に分かれた関が原で後の天下人、徳川家康と戦って敗北。
捕縛され、処刑されることとなります。ここから逸話によっては少々の違いがあるものの、話の流れは
「処刑前に喉が渇いた石田三成が水を所望」
「水が無かったので代わりに柿を出される」
「三成これを「柿は胆の毒なので食べない」と断る」
「周りの者「今から処刑されるのに何言っているんだ」と大笑い」
「石田三成「大義を持つ者は、首を刎ねられる瞬間まで諦めぬものだ」」
となります。
石田三成の最期まで足掻き続ける姿勢、それを人は忠義と呼んだ
胆の毒、というのは要するに腹痛が起こることを懸念して食べない、ということでしょう。逸話を見ていると、確かに今から処刑されるというのに腹痛を気にするのはおかしな話かもしれません。
しかし死が迫ってくる中でも、その最期、首が刎ねられる瞬間まで己の身の状態を正常に保つこと、それは最期まで諦めない石田三成の執念でもあり、その執念は潔く生きる武士の時代の中でも「忠義」の姿勢として評価されてもいたのです。ではその逸話と石田三成の忠義を見届けた所で、柿の毒、についてもう少し話しましょうか。
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柿は体を冷やすことから、腹痛を起こしやすい食べ物と言われる?
柿は昔から「体を冷やす」と言われています。熱がこもってしまう暑い時に適度に体を冷やすことは大事ですが、そうでもない時に体温を下げすぎると免疫力が低下する、腹痛を起こす、もしくはそこから下痢などをして体力を余計に落とし……と色々な病気に繋がってしまうことになります。このため石田三成は柿を断ったのでしょうが……実際には、これはやや眉唾です。
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柿は直接的に体を冷やすことはない……となると「柿は胆の毒」はどこから
「柿は体を冷やす」という話には、栄養学的、医学的な根拠はほぼないからです。主に言われるのはカリウムによる利尿作用ですが、このカリウムによる利尿作用というのは基本的に生で食べる野菜、果物には必ずある効果と考えると、柿だけが体を冷やすとは言えません。他の野菜や果物もまた、十分に「胆の毒」である可能性はあるのです。
では石田三成はどうして「柿は胆の毒」と呼んだのでしょうか?
石田三成、実は柿の毒要素に気が付いていた可能性!?
所で皆さんは「柿は空腹時に食べてはいけない」という話はご存知でしょうか。これは空腹時に柿を食べると「柿胃症」という病気が起こり、最悪の場合命の危険があるのです。
柿胃症とは空腹時に柿を食べると、そこに含まれるタンニンが結石化し、柿胃石という石が胃腸内にできます。この石は胃腸内を傷付けて酷い痛みが起こるだけでなく、胃腸壁がズタズタになるとまた別の病気を招き、更には大きさによっては腸閉塞まで起こるので大変危険です。そして石田三成は、この柿胃症について、知っていたのではないか、と思われます。
慢性的な腹痛、そこから起こりえる可能性と、柿
というのは、石田三成は柿が好物だったと言われております。柿が贈答物として石田三成に良く贈られていた、その礼状に「好物」と書かれていた、これらの話を統合すると、石田三成は柿を日頃から食べていたのではないでしょうか。
すると、酷い状況ではないにしろ、柿胃症の症状も起こしていた可能性があります。柿胃症という症状としては知らずとも「柿を空腹時に食べるのは良くない」とは分かっていた可能性は、十分に考えられるのではないでしょうか。
石田三成と柿、そして腹痛と胃痛
もしかしたら石田三成が胃腸が弱かったと言われる話があるのも、そもそも柿胃石による胃腸へのダメージが慢性的に起こっていたからかもしれません。
さて、石田三成は関が原の敗北後に逃走、捕縛。9月22日、大津城に護送されて城の門前で生き曝し、9月27日、大坂に護送。翌日に引き回しをされ、恐らくこの頃に柿の逸話が生まれたのだと思われます。
逃走して捕縛され、長い距離を護送、その間の扱いと言えば罪人としてです。食事にそこまで気を使われることはなかったでしょう。その中で柿を食べる、それは石田三成にとって長い年月の中で培った、経験からの警鐘がならされたのかもしれません。最後の最期でキラリと輝く豆知識、石田三成と柿のお話でした。
戦国ひよこライター センのひとりごと
筆者も柿は好物なのですが、今回調べてみて驚きの事実を知りました。中々生きているだけでは知らないことも多いですね。そしてそれを経験で知っていく、過去の人物たちの考えもまた、凄いものだと思います。
そう思うと柿も中々に怖い食べ物、皆様もできるだけ、柿は食事後、デザートにお召し上がり下さいませ。美味しいものこそ何かある、世の心理ですね。ちゃぽーん。
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