辞世の句で見る細川藤孝の魅力 - 魅力満載の全方位紹介

14/04/2023


 

コメントできるようになりました 織田信長

 

細川藤孝による辞世の句

 

今回は筆者の戦国時代の推しの一人である、細川幽斎ほそかわ ゆうさいこと細川藤孝ほそかわ ふじたか殿をご紹介しましょう。えー、この人を一言で言うなら「全方位優れたチート人物」です。

 

逸話も端から端まで凄いことこの上ないのですが、やはり一点だけ選ぶとするならば「芸」の部分でしょうか。芸は身を助く、とは言うけれど、本当にそれを体現してしまった方。それが辞世の句までに溢れている人物ですので、ぜひ知って頂ければと思います。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

姉妹メディア「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

yuki tabata(田畑 雄貴)おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、姉妹メディア「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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生まれからして一級品だった(かもしれない)細川藤孝

細川藤孝

 

さて細川藤孝ほそかわ ふじたか、生まれから凄いことになっている人です。その父親は和泉いずみ守護細川元有の子であり、母方の叔父に養子となった三淵晴員みふち はるかず。ですが幼い頃にこれまた養子として、細川家嫡子となっていた伯父に養子に出されて和泉いずみ守護細川家当主として育てられることとなりました。

 

……しかし、そんな藤孝、実は大きな声では言えませんが将軍しょうぐん様の落とし種という説があります。この後出てきますが、細川藤孝ほそかわ ふじたか将軍家しょうぐんけのために粉骨砕身したのは腹違いの兄弟たちのためだった……という可能性もあるのですね。

 

 

貧困の中で将軍を守り抜いた姿

足利義輝

 

そんな細川藤孝ほそかわ ふじたかは、13代将軍じゅうさんだいしょうぐん足利義輝あしかが よしあきに仕えていたのですが、この義輝が松永久秀まつなが ひさひでらに暗殺されるという大事件が起こりました。ここで藤孝は我が子(後の細川忠興ほそかわ ただおき)を置き去りにしてまで、義輝の弟である足利義昭あしかが よしあきを助けて流浪の日々を過ごし、灯の油にすら困るほどの生活の中で必死に義昭を将軍として擁立するために頑張ります。

 

 

明智光秀と麒麟がくる

 

その途中、朝倉家あさくらけにいた明智光秀あけち みつひでと友誼を結び、彼を仲介に織田信長おだ のぶながと接近。こうして見事、細川藤孝ほそかわ ふじたか足利義昭あしかが よしあき15代目将軍じゅうごだいめしょうぐんすることができたのです。

 

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麒麟がくる

 

 

将軍から織田信長へ ~時勢を見定める~

信長包囲網を築き織田信長の邪魔をする足利義昭

 

しかしご存知、織田信長おだ のぶなが足利義昭あしかが よしあきの関係は悪化の一途を辿ります。そしてこの時、既に藤孝の心は将軍家から離れ、織田家に近付いていました。細川藤孝ほそかわ ふじたかは将軍の動向を密かに信長に伝え、最終的には織田家家臣おだけかしんの一人となるのでした。

 

細川ガラシャ(女性)とキリスト教

 

尚、この時に信長の薦めで細川藤孝ほそかわ ふじたかの息子・細川忠興ほそかわ ただおきと、明智光秀あけち みつひでの娘・たまの縁談が行われていたりなどしています。

 

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明智の謀反、豊臣へ鞍替え、ついでに刺されかけた息子

mituhide-aketi-honouji(明智光秀の本能寺の変)

 

そんな親戚付き合いのあった明智光秀あけち みつひで、謀反を起こします。ここで「一緒に戦おうよ!」と言われても「ケースバイケースで」とか答えられちゃうのが細川藤孝ほそかわ ふじたかという人物。

 

臨終

 

光秀の要請拒否、自分は出家して「幽斎玄旨ゆうさい げんし」と名乗って隠居。ここで娘婿の一色義定いっしき よしさだが光秀に組してしまったので、後に謀殺。夫を実家に殺された娘はこれを恨んで兄・忠興ただおきに襲い掛かって顔に傷を付けるなどの一幕を経て、今度は豊臣秀吉とよとみ ひでよしと仲良く……しつつ徳川家康とくがわ いえやすとも仲良くしちゃったりする細川藤孝ほそかわ ふじたか。とにかく時勢を見極めることに長けている人物です。

 

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関ヶ原の戦い、絶体絶命の細川藤孝は……

battle-Soldier(合戦に参戦する兵士)

ここで始まる関ヶ原せきがはらの戦い、居城である田辺城たなべじょうを守ることになった細川藤孝ほそかわ ふじたか。手勢は僅か500人ほど。そこに迫る西軍の数はなんと、15,000!もはやこれまで、という城を枕に討ち死覚悟の細川藤孝ほそかわ ふじたかの戦いが始まります。

 

が。

 

Ashigaru(足軽-兵士)

 

実際に戦いが始まると、実は西軍にいたのは藤孝の弟子たちが多く、彼らは師を攻撃できなかったのでした。更に山を背に建てた田辺城たなべじょうは攻めにくく、士気も高い田辺城たなべじょうは中々落ちません。そしてとんでもないとこにこの戦況が伝わります。

 

 

細川藤孝……辞世の句……?

 

動いたのは藤孝の弟子の一人、八条宮智仁親王はちじょうのみや ともひとしんのう。実は細川藤孝ほそかわ ふじたかは古今伝授という、勅撰和歌集「古今和歌集こきんわかしゅう」の秘伝解釈を伝えられた伝承者であり、継承者でした。そんな大事な人物を失えない!と朝廷から停戦要請が出されます。しかし細川藤孝ほそかわ ふじたかこれを「城を枕に討死覚悟です」と断り、「古へも今も変はらぬ世の中に心の種を残す言の葉」という歌を添え、古今集証明状を智仁親王ともひとしんのうに、源氏抄げんじしょうと二十一代和歌集を朝廷に献上。この覚悟から、これを細川藤孝ほそかわ ふじたか辞世の句として取り扱っても良いとしましょうか。意味合いとしては昔も今も変わらない世に、心の思いを言葉が残してくれる……という、弟子への最期の思いを伝える歌といった所でしょう。

 

 

これぞ正に「芸は身を助く」の体現者

Emperor(天皇のシルエット)

 

智仁親王ともひとしんのう、これに大慌てして兄である後陽成天皇ごようぜいてんのうに頼み、正式な勅使による無血開城命令が出されました。長い年月あっても、天皇から勅使を出されて無血開城するなんて前代未聞ではないでしょうか。

 

天下を収めた徳川家康

 

また前述したようにここでは多くの西軍が足止めされる形となり、この功績を徳川家康とくがわいえやすに称えられて細川家は豊前小倉を治める大名として、そしてその後も現代までその家を残すこととなります。

 

細川藤孝による辞世の句

 

辞世の句を詠んだは良いものの勅使で開城、その後は功績を称えられ悠々自適に隠居生活をするなど、細川藤孝ほそかわ ふじたかはどこまで先を見通していたのでしょうか。かくして細川藤孝ほそかわ ふじたか、辞世の句詠んで大勝利の回。これにて終幕でございます。

 

 

戦国ひよこライター センのひとりごと

日本史ライター セン

 

まあまあ見直しても驚きびっくり感嘆のため息が漏れてくる細川藤孝ほそかわ ふじたかの人生。本気で死ぬ気だったから歌を詠んだのになぜか助かっちゃった……というのも面白いですし、ここで生き残ることを狙って気合を入れて歌を詠んだら戦争終わって勝った、というのも細川藤孝ほそかわ ふじたか的で面白いかもしれません。

 

センさんのとぷんver2

 

何にせよ戦国時代の最大級の勝ち組、細川藤孝ほそかわ ふじたかとその辞世の句(?)でした。ちゃぽーん。

 

どうする家康

 

 

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自己紹介:日本史はあちらこちら、面白そう!と思った所を色々と見ていくのが大好き。どこも面白くて目移りしてしまいますが、特に戦国時代が大好物。様々な勉強ポイント……よりも、ちょっとクスっとしてしまうような小話を交えつつ、皆さんと沼にハマっていきたいと思います、どぼーん。 好きな歴史人物:織田信長 斎藤道三

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