羽柴秀吉、皆さんもご存知の人物でしょう。天下人ですね、はい。
その羽柴秀長の弟こそが、羽柴秀長です。この羽柴秀長と言えば、優秀な弟で、秀吉の天下取りを陰になり日向になり支えた人物。いやもう秀長様さえいたら徳川の時代なんか来なかったくらい優秀ですわー!なんて言われたり言われなかったり?でもその優秀評価、行き過ぎ?それとも残当?今回はそれを考察してみたいと思います。
この記事の目次
いきなり結論!?優秀はかなり優秀
さあ結論から行きましょう。羽柴秀長は優秀です!(いきなり)羽柴秀長、及び豊臣秀長の功績や能力に関しては過去にも筆者は拙いながらまとめていますが、与えられた役割は過分であり、しかしそれを卒なくこなし、政治に軍事に人と人との繋ぎなど、幅広くマルチに働いている人物です。まあ秀吉がそれだけ任せるということは間違いなく、能力は優秀な人物であったことは間違いないでしょう。
そもそものポイント「弟」であること
それ以上に羽柴秀長の優秀ポイントとして、個人的には「弟」であるということを挙げたいと思います。これは決して筆者が弟属性萌とかそういう訳ではありません。
大体の武将と言うのは家があって、そこに長年仕える譜代の家臣、というのがいるのですが。羽柴秀吉にはそういう武将がいないんですよね。なので信頼できる家臣というのが限られてくる訳ですが、そこで血縁関係者、というのはそれだけで安心できる人物と言って良いでしょう。血筋的にも優秀、と言えるでしょうね。
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防げた悲劇の数々を見てみると
そして挙げておきたいのが、羽柴秀長の死後。羽柴秀長、この頃は既に兄弟揃って豊臣性になっているのでそちらで表記しましょうか。
豊臣秀長の死後、豊臣秀吉の暴走とも言える所業が始まります。秀次事件、朝鮮出兵、これらの行動は正に狂気とも言える振る舞い。これらは秀長在命時には起きなかった……つまり、秀長さえ生きていたら防げたんだ。つまり秀吉のストッパーをやれた秀長は超☆優秀!で決定ってコトでしょうか?
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結果を出し、信頼され……それは過大評価となるか
「じゃあ何で秀長様を過大評価とか言い出したんだよ」と、そろそろ言われてしまうかもしれません。確かに羽柴秀長は優秀です。優秀さを裏付ける結果の数々も確かにあります。
しかし同時に、過大評価されてはいないか、とも思ってしまう。今回はその少しばかりの危険性と、その過大評価がどこから起ってしまうかに関して……羽柴秀長、豊臣秀長が好きだからこそ、触れておきたいと思った次第であります。
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秀吉の暴走関係に関して……生きていたらと言われては
さてまたもや結論から書いてしまいますが、羽柴秀長のような「タイプ」は過大評価されやすいのではないか、と筆者は考えます。それが良く分かるのが、秀吉の暴走関連ですね。秀吉の暴走は秀長の死後、行われました。この行動は誰も諫められなかった、そうして歴史を振り返ると、人々はこう考えてしまう。
「秀長が生きていたら」
もしかしたら、それが、確信に変わってしまうのです。これはある種、歴史の業かもしれません。
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どこから「それ」が始まりやすいのか、考える
羽柴秀長のような「タイプ」と言いましたが、こういうタイプは歴史に良くいるタイプであると考えます。当てはまる要因として
「早く死んだ」「死後に周囲が衰える」「能力的には間違いなく優秀な人」
こういうタイプ、良くいますよね。一つの例として、後期に暴走した秀吉と、先に亡くなった秀長を比べてみると。秀長は人格者で合った面が強調されやすく、逆に秀吉悪い面が強調されやすくなる傾向があります。どうしてかと言うと、秀長は「そういう面を出す前に死んでいる」からです。
言い方を変えると「マイナス面が目立つ前に退場している」とも言えると思います。そう言う歴史的な人物は、総じて生き残ってマイナス面を知ってしまった人物よりも、高く評価されてしまうように思うのです。
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「もし」の面白さと、同時に危うさに付いて
生きていたら、はあくまで想像です。同時にとても面白く、ついつい想像してしまいがちです。筆者も良く分かります、そしてそれは、何ら咎められることでもないと思います。ですが人は「有り得たかもしれない」ことを「絶対にあったはず」として考えてしまうことがままあります。
それはある種、危うい考えではないかとも思いました。好きな歴史上の人物が、人格者で、優秀で、でも早死して、それから歴史が狂っていく……と、どうしても「生きていたら」を想像してしまいますが。それでも必要以上に、比較対象をつくって他者を貶めたり……そういう歴史の負の面に落ちないようにしよう、そんなことをふと考えてしまった筆者でした。
戦国ひよこライター センのひとりごと
まあ筆者はそれはもう秀長ファンな時期がありまして。それはもう「秀吉に比べて秀長様は素晴らしくってさー!」なんて吹聴するようなお恥ずかしい時期もありまして。いやあ本当に我が身を振り返るようなことを申し上げますと、これは歴史を楽しむ上でよろしくない!
読者の皆様はこのようなダークサイドに落ちることはないかと思いますが、ふと老婆心ながらこの機会に申し上げさせて頂いた次第です。歴史は楽しく、でもその楽しさが誰かを貶めてのものにならないように。もう一度、再確認させて頂いた次第でした。
参考:後編旧記雑録 大友家文書録 徳川実紀