日本資本主義の父・渋沢栄一
渋沢栄一が、「日本資本主義の父」と呼ばれるのは、第一国立銀行(現在のみずほ銀行)を設立して、起業資金を融資する金融機関を整備した後、明治政府を辞めて民間の実業家になり、紡績や鉄道、ガス、製糖、製糸、セメントや建設、自動車、倉庫業など500社以上の企業の設立に関わったり経営に参画しているからです。
明治以降の日本の産業に渋沢は多大な貢献をしており、その事から「日本資本主義の父」とも呼ばれているのです。
渋沢栄一紙幣の画像
渋沢栄一の紙幣画像のモデルになった写真の年代について調べてみたのですが、よく分かりません。しかし、大蔵省に出仕していた33歳頃の渋沢栄一よりは、老けている感じなので、大蔵省を退官して民間の実業家に転身してからの姿ではないかと思います。
丸顔で温和な印象を与えつつも眉の太さと引き締まった顎と口元は意志の強さを感じさせますね。
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渋沢栄一紙幣の裏
渋沢栄一の紙幣の裏には、東京駅が描かれています。しかし、これについては紙幣は全国を流通するのに、東京駅では地域色が強すぎるのではないかと不満の声も出ているようです。
確かに、地域が特定されるような意匠は、それに該当しない地域の人には不満かも知れません。でも、例えば二千円札には首里城が描かれていますが、一応、全国に流通する紙幣ですので、地域色を前面に出した紙幣でも、前例がないわけではないようです。
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渋沢栄一とフランス
渋沢栄一は、1867年に開かれたパリ万博に徳川幕府代表一行として出席します。この時の全権は徳川慶喜の異母弟で15歳の徳川昭武でしたが、渋沢栄一は昭武に随行しフランスのみならず、欧州各地を見学し見聞を広める事が出来ました。
しかし、欧州滞在中に徳川慶喜が大政奉還したせいで日本からの送金が滞り、明治新政府からの帰国命令もあり、帰りはかなりバタバタしていました。ちなみに、徳川昭武は日本人で初めてココアを飲んだ人でもあるそうです。
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2021大河ドラマと渋沢栄一の紙幣
紙幣に採用された事も関係あるかも知れませんが、2021年のNHk大河ドラマは渋沢栄一が主人公の「青天を衝け」に決まりました。主演はアミューズ所属のアイドル吉沢亮で26歳、平成生まれとしては初めてNHk大河ドラマの主役を務める事になります。
しかし、新紙幣の流通は2024年ですから、タイアップには時間が離れすぎていて、新紙幣が発行されるからと言って「青天を衝け」の視聴率が上がるという事はなさそうです。
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渋沢栄一とお金
渋沢栄一は、お金について貯めるだけでは意味が無く、広く社会に貢献する為に使用してこそ意味があると言っています。だからこそ、微細なお金を集めて、事業を起こす人に貸し出す銀行という仕組みを導入したのでしょう。
同時に栄一は営利を否定しませんが、営利だけではダメだとも言っています。営利だけだと自分だけが儲かればいいとして、周囲に迷惑をかけて顧みないような守銭奴が出来上がってしまうからです。
お金は広く公益を実現する為に貯めて集めて使用するという栄一の思想は、法律に違反さえしなければ、お金を使って何をしてもいいという現代の風潮に警鐘を鳴らすものだと言えますね。
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渋沢栄一と預金封鎖
最近のネット情報では、2024年の渋沢栄一の新紙幣発行が日本の財政破綻。そして、預金封鎖の最悪のシナリオに繋がるとする意見も出てきています。
その根拠というのが、1946年に敗戦で財政破綻した日本政府がインフレ抑制の為にデノミネーションと預金封鎖を敢行したが、その時の大蔵大臣が渋沢敬三で、渋沢栄一の孫だからだそうです。
キバ〇シ
「新紙幣発行は、2024年に日本が財政破綻し国民の預金を封鎖するという最悪のシナリオへの警告が含まれているんだ!」
「ええっ!なんだってキ〇ヤシさん」
もう、これだけで笑える都市伝説なんですが、そもそもデノミネーションは物価の暴騰を引き起こすインフレの抑制策で、日本の現状デフレの正反対の政策です。
政府が預金封鎖なんてしなくても日本人は倹約して消費は冷え込み、お金は銀行に預けっぱなし、銀行は国債買ってる状態なのに、なんでインフレが起きるんでしょうか?
まず、インフレにならない限り預金封鎖なんてアリエナイですね。
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渋沢栄一紙幣について一言
営利を肯定しつつも、私利私欲のみを図らずに、皆が豊かになれるよう公共の利益の為にもお金を使えと言い残した渋沢栄一。その思想が日本の経済界の柱になればいいですが、今の現状ではどうですかねぇ。一万円札の渋沢翁が泣いているみたいな事はもっと減って欲しいです。
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