もう少しで最終回を迎える「鎌倉殿の13人」、皆さんは見続けていらっしゃるでしょうか。今回、筆者の一番の楽しみでもあり、ある意味不安でもあった要素が北条政子と八重、この二人です。
最初こそ何かちょっと違うかもしれない……なんて自分の中のイメージにこだわって視聴をずるずると先延ばしにしてしまっていましたが、見始めてみるとこれが面白い!
その中で、今回は北条政子と八重の関係についてちょっとお話したいと思います。
この記事の目次
歴史でみる八重姫と北条政子
ではまずざっくりと北条政子と八重姫、二人の歴史的な面での関係をちょっとお話。
八重姫は伊藤祐親の娘で、源頼朝の最初の妻と言われている女性です。しかし二人は引き裂かれて、生まれた子供も河に沈められる。八重姫は別の男性に嫁がされ、源頼朝は八重姫の元から逃げ出して、逃げ込んだ先で北条政子と出会う。
しかし源頼朝が忘れられない八重姫は密かに会いに行き……というストーリーです。嫌な言い方をすると、元カノ今カノという言い方になってしまいますかね。
こちらもCHECK
-
源頼朝の最初の妻は北条政子ではない?謎の「八重姫」とは?
続きを見る
失恋して川に身を投げる悲劇のヒロイン八重姫
ここで源頼朝に会いに行った八重姫は、北条政子と新しい幸せな家庭を築いている姿を見て悲しみ、身を投げて死んでしまいます。このため、八重姫は基本的に「悲劇の姫君」として認識され、描かれたとしてもそういう姿であることが多くありました。
なので大河ドラマになる上で、悲劇のヒロインとそれに勝利した女性の構図を延々と描かれるのはあまり好みじゃないなー……と心配していた筆者でした。良い意味で裏切られるのですが。
こちらもCHECK
-
八重姫と北条義時の結婚は脚色だらけ!でもその理由に思わず納得
続きを見る
佐殿に執着し現カノの政子に挑むドロドロ八重姫
実際、大河ドラマの中でも当初は北条政子と八重、八重殿は対立していましたね。別れ話を持ち掛けていったり、川を挟んでお手を振ったりと……それはもう。所々で筆者も「ひぇ」と声を漏らしたものです。
ただ、それには演出の関係上、必要な場面でもありました。円満に分かれて何も揉めずに普通に何事もなかったように仲良くする、それではドラマがありませんからね。これらの場面は必要な場面でもあったのです。
こちらもCHECK
-
北条政子と八重殿『二人の女性の描き』が鎌倉殿の13人の魅力
続きを見る
北条と伊藤の問題でもある八重姫と政子の確執
ここでちょっと触れるのが、大河ドラマの中で、政子が八重殿に直談判……いえ、直接的に話をしに行く場面です。まだこの頃は八重殿も、佐殿こと頼朝に心を残していた時でしたね、懐かしい。ここで政子はそんな八重に、佐殿の心は既に八重から離れていることを告げます。
八重は言いました、佐殿は伊東から北条へ乗り換えたのか、と。この時代は恋は男女の関係だけでは終わりません、家と家とが巻き込まれるのです。二人とも恋をしつつも、自分の背後には家がいるということを改めて思い直した瞬間ではないでしょうか。
恋をするだけの娘が、いずれ歴史を背負うようになる、そんな場面でもあったと思います。実に良い場面でした。
こちらもCHECK
-
八重姫とはどんな人?自分勝手な姫様は史実に登場するの?【鎌倉殿の13人】
続きを見る
八重姫に佐殿への未練を断たせた亀の前
もう一つ、今回の北条政子と八重を語るならば無くてはならない場面、人物と言えば亀の前でしょう。亀の前と言えば源頼朝が浮気をした女性で、北条政子にひどい目に合わされちゃう女性ですが……今回の大河ドラマでは、北条政子と八重、両方に影響を与える女性でした。
この亀の前との出会いにより、八重は過去を振り切り、そして政子はどうやって前を向いて歩いていくかを考えていく。そういう演出を含まれている女性として描かれていたと思います。
こちらもCHECK
-
北条政子だけじゃない!愛人の家を壊す日本の奇習うわなりうちとは?【鎌倉殿の13人】
続きを見る
煮え切らない頼朝を一喝する北条政子
さて、大河ドラマでの時代をぐぐっと進めましょう。北条政子と八重は、当初から思いもよらないほど変化してきたと思います。政子は頼朝の妻として、源氏をまとめる存在へと。そして八重は北条義時の妻として、そして次代の母として。
……にも拘わらず、とある場面で何とも空気の読めない頼朝の姿と言葉!何で今そんなことを言うのかこの男は!口を閉じなさい!お前の息は臭すぎる!怒りに立ち上がりそうになるも、これまた演出でした。
北条と源氏の支えとして家を背負い和解した2人
政子は頼朝の妻として、そして源氏のトップの伴侶という女性として、しっかりと夫を諫めました。同時に、北条義時の妻としての八重は立場的に反論することはできなかったでしょう、夫である義時を思えばこそ。だからこそ政子が諫めた、そして謝った。
決して対立するのではなく、女性としての争うのでもなく、現在の北条政子と八重としての、二人の会話と姿。二人の関係とその変化を見事に描いた、良い場面であったと思います。
こちらもCHECK
-
北条政子は何をした?鎌倉幕府の創設に貢献した尼将軍
続きを見る
日本史ひよこライター センのひとりごと
今回は個人的な感想を多大に含んでしまいましたが……本当に良かったと思ったからこそ、ここで言葉に残させて頂きました。冒頭でも書きましたが、実は大河ドラマをしっかりと視聴するまではこの辺りが不安でもあったので、本当に上手に描いてくれて筆者は大満足しています。
ただ大河ドラマのキャラクターとしてではなく、意志を持っている一人の人としての描き方と、その変化。今回はそれを良く、感じた瞬間であったと思います。
ちゃぽーん。
参考:吾妻鏡 曾我物語
こちらもCHECK
-
「伊豆山神社の歴史」源頼朝と北条政子の二人を結んだ神社
続きを見る