坂本龍馬は歴史ドラマで度々主役になったり、尊敬する偉人ランキングで1,2を争うほどの人気があります。坂本龍馬は1836年1月3日、現在の高知県にあたる土佐藩郷士の家に生まれ、海援隊の前身である亀山社中を結成。
その後は、薩長同盟の成立の立役者になり、倒幕および明治維新に関与しました。ですが、1867年12月10日、近江屋事件で中岡慎太郎、山田藤吉らとともに暗殺されてしまいます。そんな明治維新を語る際に欠かせない龍馬ですが、少年時代から剣術を学んでいました。
今回は彼がどこでどんな剣術修行を積んだのか、そして本当に剣術の達人だったのかをご紹介していきます。
14歳で剣術修行
坂本龍馬は14歳の時、坂本家から通える距離の小栗流日根野道場へ入門します。小栗流とは小栗仁右衛門正信が開いた日本武術の一流派のことを言います。1616年に発生し、和術、剣術、手裏剣、棒術、抜刀術、槍術、眉尖術、水練、騎射などを伝えていました。小栗流は正信の弟子である朝比奈可長が土佐藩主・山内家の家臣だったため、土佐藩に伝えられ、同地で栄え、土佐藩の柔術は幕末まで小栗流の勢力が強かったといわれています。
実は坂本龍馬は幼少期は「よばあたれ(寝小便たれ)」、「あまのん(女みたいなやつ)」、とバカにされ劣等感にさいなまれていました。日本の未来を切り開いたあの坂本龍馬が、幼少期はからかわれてたなんて意外ですね。
しかし、熱心に先生に稽古を付けてもらううちに、みるみる剣術の腕前は上達し、道場内での試合で2,3個年上の弟子たちにも勝ち続け、弟子たちや先生はもちろん、龍馬自身もびっくりしたそうです。こうして心身共に鍛えられ、「よばあたれ」や「あまのん」と言う者はいなくなりました。日根野道場には5年間通いました。
坂本龍馬は1853年3月、日根野弁治から「小栗流和兵法事目録」と言われる伝書を与えられました。龍馬は他にも後に「小栗流和兵法十二箇條」、「小栗流和兵法三箇條」が与えられます。
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19歳で江戸に千葉道場に入門
坂本龍馬は19歳の頃、出立前、父の八平から「修行中心得大意」3か条を与えられました。忠孝を忘れずに修行すること、浪費してはならない、色情におぼれて国家の大事を忘れてはならない、この3つを約束します。そして、江戸に向かい北辰一刀流の桶町千葉道場の門を叩きます。
北辰一刀流とは、千葉周作が創始した、北辰夢想流と一刀流を合わせた古流武道の流派です。北辰一刀流を発展させたのが剣道とも言えます。等級は簡素化され、「初目録」「中目録免許」「大目録皆伝」の3段階ありました。
桶町千葉道場とは、北辰一刀流の道場であり、幕末に千葉定吉によって開かれました。場所は現在の東京都中央区の八重洲にあたる江戸の桶町です。桶町千葉道場の門人は龍馬の他に、千葉定吉の息子である千葉重太郎、定吉の娘であるさな子、新選組剣術教授方・肝煎役の柏尾馬之助らがいました。
龍馬は定吉のもとで剣術修行を受け、「北辰一刀流長刀兵法目録」と流派の最高位「北辰一刀流免許皆伝」を授かったと言われています。ちなみにさな子は龍馬の婚約を交わしていた人であり、剣術の腕前はなかなかのものでした。
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坂本龍馬は剣術ができなかった説も
剣豪と呼ばれるほどの剣の腕前と言われている坂本龍馬ですが、剣を抜いたと記されている資料はあまりありません。なかには、「実は龍馬は剣豪と呼ばれるほど強くなかったのではないか」と疑問に思う人もいるかもしれません。
確かに龍馬は真剣で人を斬ったとされる経験は0に等しいでしょう。ですが、剣術に関して小栗流と北辰一刀流の二流派の免許を皆伝しています。小栗流の伝書に関しては、「小栗流和兵法事目録」「小栗流和兵法十二箇條並二十五箇條」「小栗流和兵法三箇條」が国立京都博物館に所蔵されています。千葉道場で龍馬が取得した免状「北辰一刀流長刀兵法目録」は高知で見つかっており、優れた剣術の使い手だったことが確認できます。
さらに1857年3月1日、江戸・鍛冶橋の土佐藩上屋敷で開催された剣術大会で、桂小五郎と対戦し、2対3で敗れたと記されている史料が、前橋市の群馬県立文書館に保管されています。
ですが、この資料に関しては偽書とも言われているため、真偽は定かではありませんが、敗れたとはいえ、剣豪である桂小五郎に健闘したことは龍馬の剣術の腕前の証明になるのではないでしょうか。
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