今回は大河ドラマ、鎌倉殿の13人。その中でも源頼朝と北条政子の娘である大姫について語りたいと思います。大河ドラマ中でも、もしくは源頼朝や北条政子を取り扱った歴史ものとなると大姫はほぼ必ず「悲劇の姫君」として出演する哀しい人物。
それは大河ドラマの中でも変わらず……いや、手を変え品を変え演出を変え、どれも痛ましいものとなっていますが。そんな彼女の運命を少し追っていきたいと思います。
源頼朝と北条政子の愛娘・大姫
大姫は源頼朝と北条政子の1178年に生まれたとされている長女です。因みに「大姫」というのは「長女」を意味する通称で、彼女の名前ははっきりと残されてはいません。とはいえ大恋愛の末に結ばれた二人の長子、ということで大姫は大切に育てられていきます。
大河ドラマでも幼い大姫が父と母に可愛がられる姿は、何とも穏やかでできればここで時間を止めて欲しいほどでしたが……時代は流れていきます。
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源頼朝による政略結婚
1183年、木曾義仲と源頼朝の関係は悪化していました。この関係を何とか修復すべく、義仲が送ってきたのが木曾義高。義仲の嫡男であり、大姫の許嫁として彼は送られてきました。
もちろんそれはあくまで名目上のお話、幼い彼は人質として送られてきたのです。これにて両者の衝突は一時的に治まりますが、ここで予定外の事態が起こることになります。
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大姫にとっての恋と愛
大姫と木曾義高、政略結婚で結ばれた二人は、大層仲が良かったと言われています。これは吾妻鏡に記されていることですが、後に義高を失った大姫は長く病に伏し、ずっと許嫁を忘れることが無かったとされているのです。
大河ドラマでもこの二人の出会いはまるで運命の出会いかのように描写されていて、本当に眩しかったですね。二人で仲良く遊んで……これがずっと続いて行って欲しいと願ってしまうかのように……いや続かないとは分かっているのですが……。
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逃走を企てる大姫
結果から言うと、木曾義仲と源頼朝の関係が改善することはありませんでした。二人は衝突、義仲は討ち死することになります。そうなると頼朝にとって義高は邪魔なだけの存在となってしまいます。
生かしておけばいずれ成長して自分に刃を向けることになる、頼朝はそのことを良く分かっていたのでしょう。しかしこれを察知した大姫たちによって、義高は一時的に逃走することには成功した……のですが。
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大姫にとっての毬の紐
追手をかけられ、義高もまた討ち取られることになり、大姫は自分の父親の命令で自分の許嫁が殺されてしまったことにショックを受け、長く病を患うことになります。
この場面は、大河ドラマでも脚本家のおに!あくま!と言わんばかりの演出が加えられていましたね……追手に抵抗しようと、冠者殿が刀を抜こうとして……抜けなかったのは、毬の紐が絡んでしまったから。
そして毬を贈ったのは大姫様。脚本家殿は鬼か何かですか?
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大姫にとっての愛情
歴史的な観点から見ると、大姫と義高は政略結婚であり、二人の仲がどうであったかははっきりとは分かりません。ただ吾妻鏡などで大姫が気落ちして病にかかるという描写があるので、多くの場合で二人は幼いながら純愛を築いていた、とされています。
今回の大河ドラマでも、嫌な言い方をすれば冠者殿は毬を持っていく必要などなかったのですよね。でもちゃんと持っていっていた、そこに二人の絆が演出されていたと思います。最期にそれが足かせとなるのもまた……涙を誘う演出ではないでしょうか。
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成長して尚
さて、ここから大姫は心を壊したかのように病に伏せるようになりますが……大河ドラマの方では、成長してより美しくなった大姫が、明るい様を見せて下さいました。そしてちょっとその姿に驚いていると……弟君が姉上を喜ばせようと思って差し出したものに、再び心を壊されます。
恐らく元気に振る舞おうとしていただけで、心は未だひび割れたままなのでしょう。決して消えない心の傷、決して忘れることはないあの日々を表しているようで、心がぎゅっとした筆者でした。
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鎌倉殿の13人ライター センのひとりごと
さて、大姫は今後どうなるのか。ただひたすらに楽しみでもあり、ただひたすらに恐ろしくもあります。大姫は建久8年7月14日、20歳という若さでこの世を去ります。
儚くも哀しい彼女の死は、源頼朝と北条政子のこれから始まる苦難の始まりとも言えるでしょう。嘗て幸福の始まりのように生まれた姫君の今後を、しっかりと見届けたいと思います。ちゃぽーん。
参考:吾妻鏡
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