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信長殺しの真犯人は誰だったのか?あえて本格ミステリー小説のノリで考えてみた

31/12/2021


本能寺の変で「是非に及ばず」と切り替えの早い織田信長b

 

織田信長(おだのぶなが)が唐突な死を迎えた「本能寺(ほんのうじ)の変」。

 

燃える本能寺(モブ)

 

日本史上最大の事件と言われておりますが、これほどのインパクトを持っているにも関わらず、未解明の謎がいろいろと多い事件でもあります。特に話題になるのは、「信長を殺したのはいったい誰だったのか?」の真犯人探し。

 

敵は本能寺にあり!と叫ぶ明智光秀

 

「そりゃ、明智光秀(あけちみつひで)でしょう?」というのがもちろん正解なのですが、共犯者がいなかったのか、黒幕がいなかったのか、などなど、背景を深く考え始めるといろいろな異説・珍説・奇説が生まれてくる領域なのです!

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

姉妹メディア「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

yuki tabata(田畑 雄貴)おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、姉妹メディア「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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真犯人は誰だったのか?本格ミステリー小説のノリで考えてみる

非常に極悪な表情をしている豊臣秀吉

 

もっとも、「朝廷が背後にいた」とか「秀吉(ひでよし)も関係していた」とかいう話は、わりあい、誰でも思いつくところ。何かもっと大胆な「新説」がないか、もう少し突飛な可能性まで、考えてみたい!と思いまして。

 

そこでここでは、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンのような本格ミステリー小説のノリで、自由な発想で真犯人を考えてみようかと思います!

 

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本能寺の変の特集

 

 

過去から容疑者として囁かれていた人物名を並べてみた!

お調子者の豊臣秀吉

 

本格ミステリーの世界では、こういう時の推理の基本は、容疑者を並べて一覧にしてみることですね。というわけで、本能寺の変にて「信長殺し」の容疑者とされてきた人々の名前を、並べてみました!

 

  • 羽柴秀吉(はしばひでよし)
  • 徳川家康(とくがわいえやす)
  • 足利義昭(あしかがよしあき)
  • 長曾我部元親(ちょうそかべもとちか)
  • 上杉景勝(うえすぎかげかつ)
  • 毛利輝元(もうりてるもと)
  • 近衛前久(このえさきひさ)
  • 朝廷の人たち
  • 堺の商人たち
  • 本願寺系にせよ比叡山系にせよ、仏教界

 

毛利輝元

 

うーん、いっぱいいますね。問題となるのは、ここに挙げた名前、どれも「動機」はあるということ。動機だけなら全員被疑者。どれだけ信長には敵が多かったか、という話にもなるのですが。

 

しかしここにあげた名前は、どれも意外性には乏しく。せっかく「本格ミステリーのノリで」考えてみるというなら、もっと大胆な犯人像を「妄想」してみたいものです。

 

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戦国時代の都市伝説特集

 

 

本格ミステリーの世界で「ありがち」な真犯人をあてはめてみる。「一番近くにいる人」説

ポイント解説をするYASHIRO様

 

そこで、本格ミステリーにありがちなパターンのひとつ、「いちばん殺意がなさそうな、被害者の近親者」が真犯人、というパターンをあてはめてみましょう!

 

ここで出てくるネームはたとえば以下。

 

  • 森蘭丸(もりらんまる)(!)
  • 織田信忠(おだのぶただ)(!)
  • 濃姫(のうひめ)(!)

 

森蘭丸

 

そんなバカな、と思う三つの名前ですが、本格ミステリーの世界なら、彼らもとうぜん疑われる対象。森蘭丸と信長の間には、近すぎるがゆえの愛憎のもつれもあったかもしれない。

 

織田信忠

 

そういえば、織田信忠も怪しい。本能寺の変の前夜、信長が就寝前に遅くまで酒を飲み交わしていたのが織田信忠。

 

 

斎藤利三と密談する明智光秀

 

もしかして、明智光秀とひそかに通じていたのでは?

信長と酒を飲み交わしていたのも、信長をしっかりと眠りに着かせて殺害の成功率を高めるためだった、とか?

 

「濃姫犯人説」は突飛ですが、たとえばアガサ・クリスティの世界なら、そんな犯人パターンもあり得るかも。そういえば男勝りな女傑というキャラクターで知られた濃姫。信長殺しという途方もない陰謀に、実は濃姫が一枚噛んでいたなんていうのは、面白いかもしれない!

 

・・・と、面白いだけで、実際にはとうていありえなさそうな路線ではありますが。

 

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ほのぼの日本史Youtubeチャンネル

 

「まったく関係なさそうな脇役が真犯人」パターン

長宗我部元親と密談する明智光秀

 

せっかくなので、もっともっと空想を働かせてみましょう。「信長殺し」は陰謀でもなければ政治劇でもなく、実はただの事故、ないし、突発的なケンカだった、と考えるパターン。

 

一見、いちばん動機のなさそうなキャラクターが犯人だった、というやつですね。このパターンにあてはまる人物はいますでしょうか?たとえば怪しいのは、本能寺の変の前夜に信長が囲碁の対局を観戦していたという点。

 

信長が見ていたというのは、本因坊算砂(ほんいんぼうさんさ)鹿塩利賢(かしおりげん)の勝負、ということになっています。もしかしたらこの囲碁の対局について、信長が何か、二人の癇に障る発言をしてしまい、それが発端のケンカで殴り殺された、とか。突発的に信長を殴り殺してしまった二人は、自分たちの殺人現場を隠滅するために、明智光秀をそそのかして本能寺の変を起こさせ、信長の死を「クーデター」に見せかけた、とか。いくらなんでもそれは奇想天外すぎる!

 

というところかもしれませんが、腕のあるミステリー作家なら、何らかのツジツマを合わせて、面白くしてくれるかも!

 

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三国同盟を潰したあの男

 

 

まとめ:一見突飛なようでいて意外とアリかも?と思ってしまう「他殺じゃなかった」パターンとは?

本能寺の変の織田信長

 

ここまで、本格ミステリーの世界にあてはめた、いろんな「犯人パターン」を妄想してきましたが、実は私にとって、ひとつ、「意外とアリかも」と思ってしまうパターンがあります。

 

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ながら日本史

 

 

戦国史ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

それが、

「実はそもそも他殺ではなくて自殺であり、あたかも殺人事件のように見えたのは、自殺者が死後に容疑者を殺人犯に貶めるための芝居だった!」のパターン。

 

これを本能寺の変に当てはめると、どうなるでしょうか?

 

  • 実は信長自身がノイローゼで参っており、自殺を考えていた
  • だがプライドの高い信長は「自殺」というカタチで歴史に名前を残したくなかった
  • そこで騙されやすい明智光秀に目をつけた
  • ましてや光秀が「時は今 天が下しる 五月かな」という、クーデターの決意と誤解されかねない句をたまたま詠んだとウワサに聞き、チャンスと思った
  • 光秀に突然、「軍勢を引き連れて本能寺へ来てくれ」と使者を送った
  • 光秀が駆けつけたときには、信長はすでに自分で火を放って自殺していた
  • まんまと謀反人に仕立て上げられた光秀はパニックに陥り、ほとんど何もできないうちに秀吉に討たれた

 

このシナリオだと、あまりにも光秀がかわいそうすぎますけどね。

 

さて、いかがでしたでしょう?

 

このように突飛な空想を交えても、意外なほどに、いろいろと「ああでもないこうでもない」のハナシができていくのが、本能寺の変という題材です。この事件をめぐる推理は、おそらく、未来永劫、完結することはないのでしょう!

 

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通説では「ダメ人物」とされている人について、史料に則しつつも「こういう事情があったのではないか?」と「弁護」するテーマが、特に好きです。愚将や悪人とされている人物の評価を少しでも覆してみたい!がモチベーションです。日本人の「負けた者に同情しがちな心理」大切にしたいと思っています
【好きな歴史人物】
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