歩き巫女・千代は実在した!【どうする家康】

04/06/2023


 

コメントできるようになりました 織田信長

kawauso編集長

 

編集長はNHK大河ドラマ「どうする家康」が好きです。中々ぶっ飛んだ内容だけどキャラクターは造り込まれていて、わざとらしさがないし、忍者とか歩き巫女とか歴史の影の存在も上手く取り入れているよなー歩き巫女(あるきみこ)なんかフィクションだけど、なんて思っていましたが申し訳ない。歩き巫女は実在し、信康事件にも絡んでいたのです。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

姉妹メディア「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

yuki tabata(田畑 雄貴)おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、姉妹メディア「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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史料は三河東泉記

日本書紀の表紙 書類

 

歩き巫女の記述が登場するのは、岡崎東泉記(おかざきとうせんき)(三河東泉記)で元禄時代までに満性寺東泉坊(まんしょうじとうせんぼう)の住職教山(きょうざん)が記したものであるようです。その時点で戦国時代より百年が経過していますから一次資料ではありませんが、岡崎で記された史料であり伝聞とはいえ戦国時代当時からの言い伝えが残っているとは言えると思います。

 

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気になる内容は?

kawauso編集長

 

では、歩き巫女千代のモデルが出てくる部分を現代語訳してみましょう。

 

歩き巫女の千代(望月千代女)

 

その節、甲州より口寄せ巫女が大勢来て、家々、村々を巡り口寄せをしていった。この時、武田勝頼が巫女を騙して月山(つきやま)(築山)殿の家来の下女に色々と賄賂を取らせて取り入り、次は下女から中間(ちゅうげん)に取り入り、後には奥上﨟(おくじょうろう)達にまで到達し、ここでも色々の金品を与えて取り入り、終には御前様(築山殿)にお目見えするまでになった。さらに御前様にも取り入り、折を見て若御前(信康)様に武田勝頼と同盟を結べば、あなたも御台所として盤石な立場となりましょう。

 

占いをする卑弥呼(鬼道)

 

云々(うんぬん)歩き巫女の口寄せとは、恐山のイタコのように死者の霊を呼び寄せてあれこれ話をする術です。戦国時代は戦乱続きで、若くして死んだ人や戦乱で突如として命を奪われた人が多く、口寄せには需要が一定数存在したのでしょう。だからこそ、歩き巫女はあまり怪しまれず、武田勝頼のような戦国大名のスパイになるケースもあったと考えられます。

 

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有名な歩き巫女、望月千代女

卑弥呼

 

実際に戦国時代の信濃には信濃巫(しなのかんなぎ)と呼ばれる人々がいて、最も有名な望月千代女は、このような歩き巫女を武田のスパイとして訓練したと伝わります。千代女はくのいちのルーツとも呼ばれていて、どうする家康では望月千代女と岡崎東泉記の歩き巫女の記述をベースに千代を作り出したと考えられます。

 

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千代は勝頼に騙される?

武田勝頼

 

ひとつ気になるのは、勝頼が歩き巫女を騙して築山殿の説得に向かわせたという部分です。もしかすると千代は勝頼の真意を知らされずに築山殿の篭絡を命じられるのかも知れません。そうだとすると瀬名と千代は利害を超えて仲間のようになった所で、千代は勝頼の裏切りに遭い、築山殿は夫である家康に謀反人として処刑される悲劇の結末を迎えるのかも…

 

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日本史ライターkawausoの独り言

kawauso

 

よく調べもしないで、歩き巫女の千代なんかいるもんかと決めつけるのはよくないですね。もちろん、ドラマそのままの姿が望月千代女だとは思いませんが、大河ドラマはちゃんと史料を調べて、フィクションに近い存在にも、それなりのリアリティを与えるのだなと再認識した次第です。千代の出番は今後減るどころか、信康事件に向けて増え続け、瀬名との絡みも増えてドラマでも印象深いキャラクターの1人になるかも知れませんね。

 

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日本史というと中国史や世界史よりチマチマして敵味方が激しく入れ替わるのでとっつきにくいですが、どうしてそうなったか?ポイントをつかむと驚くほどにスイスイと内容が入ってきます、そんなポイントを皆さんにお伝えしますね。日本史を勉強すると、今の政治まで見えてきますよ。
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