八重姫とはどんな人?自分勝手な姫様は史実に登場するの?【鎌倉殿の13人】

07/03/2022


八重姫(女性) 鎌倉殿の13人

 

個性豊かなキャラクターが平安末から鎌倉時代にかけて活躍するNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人そんなキャラクターの中でも視聴者の好き嫌いが分れそうなキャラが八重姫(やえひめ)です。

 

八重姫は源頼朝の元妻

 

八重姫の性格はとにかく頼朝(よりとも)一途である事、父祐親(すえちか)に頼朝と強引に別れさせられ家人である江間次郎(えまじろう)に嫁がされても、次郎を夫とも思わず従来通りの使用人としてこき使い頼朝に会う為に舟を漕がせる始末で次郎が悔し泣きをする有様でした。そんな頼朝を手に入れる為ならどんな事でも平気でしてしまう自分勝手な八重姫ですが史実に登場するのでしょうか?

 

※この記事にはNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人のネタバレが含まれます。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

姉妹メディア「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

yuki tabata(田畑 雄貴)おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、姉妹メディア「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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同時代の史料には登場しない八重姫

平家物語 書類

 

八重姫が登場するのは曽我物語(そがものがたり)平家物語(へいけものがたり)源平盛衰記(げんぺいせいすいき)源平闘諍録(げんぺいとうそうろく)で、同時代の史料や、鎌倉幕府の歴史書吾妻鏡(あずまかがみ)には一切登場しません。また八重という名前については、遥かに時代が下って幕末に伊豆の郷土史「豆州誌稿(ずしゅうしこう)」なってようやく名前が出てくるのだそうで、このような経緯から八重姫については、正確な事が分らずフィクションの可能性も高いとされています。

 

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源頼朝

 

 

 

曽我物語の八重姫

伊東祐親 鎌倉

 

つぎに、鎌倉時代末に成立したと考えられる曽我物語に出てくる八重姫を見てみましょう。

 

源頼朝の監視役を任された伊東祐親

 

八重姫は伊豆の在地豪族である伊東祐親(いとうのすけちか)の三女です。祐親は平清盛(たいらのきよもり)から流人である源頼朝(みなもとのよりとも)の監視を命じられていましたが、大番役の役目で京都の警備に出て3年間伊豆を留守にしていました。

 

直垂を着用する源頼朝

 

その間に頼朝と八重姫はいちゃいちゃするようになり、八重姫は頼朝の子、千鶴御前(ちずるごぜん)を出産します。京都から3年ぶりに伊豆に帰った祐親は激怒します。

 

晩年の平清盛

 

「親の知らない婿(むこ)があろうか、平家全盛の今、落ちぶれた源氏の流人を婿にするくらいなら娘を物乞いに嫁に出した方がマシだ。清盛殿に処罰を受けたらなんとするか」と言い家人に命じて千鶴を轟ヶ淵(とどろきがふち)に連れて行き、(しば)で体を包んでおもりをつけ水底に沈めて殺しました。

 

八重姫が源頼朝と付き合いキレる伊東祐親

 

そして、八重姫を取り戻し同国の住人、江間(えま)四郎(しろう)に嫁がせたのです。祐親はさらに頼朝を亡き者にしようと郎党を差し向けますが、頼朝の乳母、比企尼(ひきのあま)の三女を妻としていた祐親の次男の祐清(すけきよ)が頼朝に危険を知らせ、同時に自身の烏帽子親(えぼしおや)である北条時政(ほうじょうのときまさ)を頼るように助言します。

 

北条政子 女性

 

こうして時政の屋敷で過ごした頼朝は時政の娘の政子とイチャイチャするようになりやがて結ばれたのでした。

 

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源義経

 

 

曽我物語の悲惨な八重姫

センさんのとぷんver1

 

曽我物語ではその後、八重姫が伊東の屋敷を抜け出し、頼朝の屋敷を訪れたところ、政子とイチャイチャしている頼朝を発見、失意のあまり真珠ヶ淵(しんじゅがふち)に身を投げて死んでしまったそうです。

 

実の子は父に殺され最愛の夫と離婚させられて、好きでもない男のところに嫁がされ、やっとの思いで伊東の屋敷を抜け出して夫に会おうとすれば、すでに別の女とねんごろになっていた。神も仏もありゃしない、全くなんの救いもない生涯です。

 

内容に納得がいかないkawauso様

 

とても可哀想ですが、大河ドラマの人に迷惑をかけても頼朝への一途な愛を貫く、八重姫とはまるで違う性格ですね。

 

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北条義時

 

 

源平闘諍録の八重姫

平家を滅ぼした最大の功労者・源義経

 

源平闘諍録によると、八重姫は頼朝と別れさせられても貞心(ていしん)を忘れなかったので後に頼朝は八重姫を鎌倉御所に招き、その計らいで相馬師常(そうまのもろつね)と結ばれたとされています。

 

また、千鶴御前を供養するために建立された最誓寺に伝わる伝承では、八重姫は北条家の人間と縁を結んだとも言われています。

 

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はじめての平安時代

 

 

八重姫はその後、北条義時に嫁いだ

八重姫の事が大好きな北条義時

 

NHK大河ドラマでは主人公である北条義時は八重姫に片思いをしている設定です。

 

超絶ツンデレな八重姫

 

しかし、これは三谷幸喜(みたにこうき)の勝手な脚色ではなく、八重姫は江間次郎との間に子供が生まれ、その後、次郎が平家方の武将として討死すると北条義時が、その子を引き取り養育したという伝承もあるそうです。

 

源頼朝と生き別れた弟・源義経

 

また、義時も通称を江間小四郎と呼ばれていたのは有名な話であり、これは後に義時が討ち死にした江間次郎の家を継いだからとも言われているそうで、だとすると義時は江間次郎の未亡人となった八重姫と再婚した可能性もないとも言い切れません。

 

八重姫に何度もフラれる北条義時

 

NHK大河ドラマでは、この伝承を採用し義時は何度か八重姫にフラれた後で姫と結婚する筋書きになっています。

 

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はじめての鎌倉時代

 

 

伊東祐親と頼朝の間の因縁

吾妻鏡の表紙 表紙

 

八重姫の存在については正史では確認できませんが、伊東祐親が頼朝を亡き者にしようとしたのは事実のようで、吾妻鏡では頼朝が祐親次男の祐清に命の危機を知らされ伊豆山権現(いずさんごんげん)に逃れた事や、頼朝に捕らえられて軟禁(なんきん)の身だった祐親が政子の出産で恩赦(おんしゃ)を受けた後、以前の行いを恥として自害したという記述がみられます。

 

関所

 

また、伊豆には八重姫を祀る真珠院や頼朝と八重姫が逢瀬を重ねた音無神社の音無森があり、千鶴御前の菩提寺最誓寺の存在を考えると、正史には名前がないものの、八重姫と思しき姫は実在したのかも知れませんね。

 

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日本史ライターkawausoの独り言

朝まで三国志2017-77 kawauso

 

頼朝1人を一途に思い、頼朝に会うためならどんな手も使い、誰でも利用し憎まれても意に介さない強い女性八重姫。好き嫌いが分れるキャラではありますが、編集長は八重姫のような生き方には好感が持てます。

 

好きだった男の前からキレイに身を引いて思い出の中に輝くより、男にウザいと思われてもひたすらアタックを続けていく女性、男だとストーカー呼ばわりですがドラマで女性の新垣結衣(あらがきゆい)が演じるなら許されるんじゃないでしょうか

 

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47都道府県戦国時代

 

 

 

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カワウソ編集長

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