源範頼（蒲殿）の死因とは？功労者なのに非業の死を遂げた最期

 

 

 

 

源範頼みなもとののりよりは源頼朝みなもとのよりともの弟で源義経みなもとのよしつねの兄ですが、その二人に比べると地味な存在です。数々の戦に参加し、鎌倉幕府かまくらばくふ創設の功労者ともいえる範頼ですが、その死因は実は謎が多いのです。今回の記事ではそんな源範頼みなもとののりよりの死因とその生涯について探ってみましょう。

 

 

頼朝の挙兵に参加する源範頼

 

源範頼みなもとののりよりは源氏みなもとじの棟梁である「源義朝みなもとのよしつね」の６男として生まれました。母親は遊女出身と言われ、あまり身分の高いひとではなかったようです。父が「平治の乱へいじのらん」で敗死しましたが、範頼は遠江国えんこうのくに（現在の静岡県しずおかけん）で密かに育てられました。流刑にされていた兄の頼朝よりともは後に平家へいけ打倒を目指し挙兵、範頼も時期は不明ですがそれに応じることになります。

 

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数々の戦に参加する源範頼

 

平家との戦いで範頼は義経とともに多くの戦に参加しました。

 

 

華々しい活躍をしたのは義経でしたが、範頼も着実に平家を追い込むことに成功していました。

 

 

しかし、他の味方の武士ぶしと争いを起こしたり、兵糧ひょうろうなどの補給に苦戦するなど不手際もあったようで、何度か頼朝よりともに叱責されたり、謹慎させられたりもしています。その後、範頼のりよりは九州きゅうしゅうに進撃し、苦戦しながらも平家へいけを追い詰めます。ただ、義経よしつねも四国しこくを得て中国地方ちゅうごくちほうに進撃、そして「壇ノ浦だんのうらの戦い」で平家へいけを滅亡させます。

 

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平家滅亡後の戦後処理にあたる源範頼

 

範頼のりよりは平家へいけ滅亡後、進撃した九州きゅうしゅうにそのまま残り、平家へいけの生き残りの捜索や領地の処分など戦後処理にあたりました。頼朝よりともは範頼に「勝手に行動するな」ときつく言われていたらしく、忠実に仕事をこなしたことから鎌倉かまくらからの評価が高まったようです。

 

 

その間、大きな功績をあげた義経は独断専行が目立ち、頼朝との対立が深まり、奥州に逃亡した義経は自害に追い込まれてしまいます。そして頼朝は「奥州藤原氏」を滅ぼすために奥州に出兵、範頼も参加します。

 

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曽我兄弟の敵討ち

 

鎌倉幕府かまくらばくふが成立し、源氏げんじの政権基盤も盤石に思えた頃、「曽我そが兄弟の敵討ち」が発生します。これは「曽我祐成そがすけなり」「曽我時致そがときつね」の兄弟が父の敵である「工藤祐経くどうすけつね」を討った事件です。

 

 

これは頼朝よりともが行った「富士の巻狩り」の際に発生し、兄弟は頼朝よりともの命も狙いました。頼朝よりともは立ち向かおうとしますが、家来に押しとどめられ、曽我そが兄弟は捕まります。頼朝よりともは兄弟を尋問し、その心意気に感動しますが、結局兄弟は死罪となります。

 

 

これは当時の大事件であり、様々なうわさが駆け巡ります。その噂の中に「頼朝が討たれた」という物もありました。範頼の耳にもこの噂が入ります。

 

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範頼、失言する

 

「頼朝よりとも死す」の噂を聞いた範頼のりよりは頼朝よりともの妻「北条政子ほうじょうまさこ」に対し「後には私がおりますからご安心ください。」と発言、生きていた頼朝よりともは政子まさこからこの言葉を聞き、範頼のりよりに謀反の疑いをかけてしまいます。慌てて範頼のりよりは忠誠を誓う文章を頼朝よりともに送りますが、あまり文章の内容がよろしくなかったようで、頼朝よりともは許しませんでした。

 

 

そんな中範頼の家臣が頼朝の寝室に潜みます。彼は捕らえられ、「範頼のために状況を伺うために参った、他意は無い」と弁明しますが、ますます範頼の疑いは深まります。頼朝に問い詰められると範頼は「覚悟している」と、話したと言います。

 

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範頼の最期は幽閉され亡くなる？

 

謀反の疑いをかけられた範頼のりよりは伊豆いず（静岡県しずおかけん）にある「修禅寺しゅうぜんじ」に幽閉されます。その後の範頼のりよりですが、幕府ばくふの公式歴史書である「吾妻鏡あづまかがみ」にはなぜか全く記述がなくどうなったのかは不明です。範頼のりよりは幽閉後表舞台から消えるので、亡くなった可能性が高いのですが、「吾妻鏡あづまかがみ」からは死因を探ることはできません。

 

 

 

 

源範頼の死因は殺された？

 

「吾妻鏡あづまかがみ」では範頼のりよりの死因はわかりませんでしたが、南北朝時代なんぼくちょうじだいに成立した「保暦間記ほうりゃくかんき」という歴史書には「殺された」と記載されています。また、鎌倉時代かまくらじだい末期に成立した「鎌倉年代記かまくらねんだいき」にも同様の記述があり、死因は「何らかの方法で殺された」と推定することもできます。

 

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源範頼の死因の色々な異説

 

範頼のりよりの死因に関しては公式文書に記述が無いことから、様々な伝説が生まれました。横浜市よこはましの「太寧寺たいねいじ」には修禅寺しゅぜんじから逃げた範頼のりよりが鎌倉かまくら側に見つかり、自害した場所が伝わっています。

 

また、「実は生きていた」という伝説も多数あり、「越前えちぜん」（福井県ふくいけん）まで逃げて生き延びたという説や、遠く伊予国いよのくに（愛媛県えひめけん）の「鎌倉寺かまくらでら」にも範頼のりよりが逃げてきた、という伝説が残っています。

 

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日本史ライターみうらの独り言

 

以上書いてきたように、範頼の死因は「不明」としか言いようがありません。これほど鎌倉幕府創設に功績がある人物なのに、「吾妻鏡」に死因の記述が無いのがとても不自然ですよね。あまり取り上げられることのない人物ですが、この謎の部分が面白くアレンジできそうですね。

 

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