「縄文時代」と言えば記録は当然残っておらず、主に狩猟採集で生きていた時代とされています。それと同時に「縄文土器」と言われるものを生み出すなど、独特な文化があったことでも知られていますね。
そんな縄文時代はどのような食文化だったのでしょうか。一説によると「どんぐり」を食べていたのだとか。今回の記事では「縄文時代の食文化」について調べてみましょう。
この記事の目次
縄文時代とは?
「縄文時代」は諸説ありますが、だいたい1万6000年前くらいと言われ、そこから卑弥呼でおなじみの「弥生時代」まで3000年程度続いたそうです。
特徴としては「土器」「弓」などの道具の使用や定住の始まり、「貝塚」の形成や植物の栽培が始まった時代、と言われています。それまでの日本人は豊かな土地を探して狩猟しながら移動していたと考えられていますが、縄文時代から地球の温暖化が始まり、極寒だった日本列島にも住みやすくなり、定住がはじまった、と言われています。
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縄文人はどんぐりを食べていた?
狩猟中心の社会では食料が不足しがちでしたが、「貯蔵」の技術が発達して食糧供給がある程度安定したのが縄文時代でした。その縄文時代の遺跡からは地下の貯蔵穴に保存されていた「クルミ」「ナラ」などの遺物が発見されました。
そんな中に「どんぐり」もあり、それによって縄文人はどんぐりも食べていたと考えられています。縄文時代の日本は「広葉樹林」が広まり、そこから収穫できるどんぐりは供給量が多く、縄文人の食文化に大いに貢献したとも考えらえています。
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どんぐりはそのまま食べられる?
どんぐりはそのまま食べると強い「渋み」があり、その「渋み」を抜く必要がありました。その方法の一つに薄皮を剥いた後「水にさらして渋みの原因となるタンニンを抜く」という方法があります。
縄文時代の遺跡からは川の水の流れを利用して一度に大量のどんぐりの渋みを抜く「水さらし場」が発見されています。このことから、縄文人はどんぐりを「大量に保存し、大量にシブ抜きしていた」技術を持っていたことがわかりますね。
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縄文料理の縄文クッキーとは?
縄文人はどんぐりをシブ抜きしたあと、調理して食べていたという説があります。縄文時代の遺跡からは「クッキー」のような炭化物が発見されており、それは「縄文クッキー」と呼ばれ、縄文人たちがどんぐりを調理して作った、と言われています。
またそのクッキーは獣の肉や卵、クルミなどの木の実をミックスして作ったのではないかという説もありますが、実際にどのようにしてどんぐりを食べていたのかは不明です。
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縄文クッキーのつくりかた
縄文クッキーには「植物性」と「動物性」の2種類があった、という説があります。「植物性縄文クッキー」はどんぐりなど木の実を粉状にし、おろした長芋と卵を加え、手でこねます。そして平らに潰し、両面を焼いたら完成です。
縄文時代にはこの「焼く」過程で「縄文土器」が使われたと考えられています。「動物性縄文クッキー」は上記の過程に獣の肉を加えるだけです。
縄文人は植物以外にはどんなものを食べていたのか?
縄文時代の遺跡からはどんぐりをはじめ、40種類以上の植物が発見され、それらは食料になっていたと考えられます。また、遺跡には残りませんが、山菜なども食べていたのでしょう。
次に重要だったのが「魚」で、東北地方ではマグロやカツオ、東京湾などではスズキなどを釣りやモリで獲っていたと考えられます。縄文時代後期になると網を使った漁も始まりました。海の無い地方では川や湖などでフナやコイなど淡水魚を獲って食べ、ほぼ1年中魚は食されていました。
縄文時代の遺跡からは「貝」が集められた「貝塚」も見つかり、貝も重要な食糧だったとうかがえます。しかも貝塚からは「フグ」の骨も見つかり、人々は縄文時代から「フグ」の毒の抜き方を知っていたようです。
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狩猟と犬
植物や魚の他には狩猟も行っていたと考えられています。縄文時代の遺跡からは「矢じり」が見つかっており、主に弓矢を使って狩りをしていたのでしょう。
鹿や猪をメインに狩っていたようですが、その他にもサル、タヌキなど60種類を超える動物の骨等も遺跡から見つかり、それらも食べていたと考えられます。また、犬を狩りの相棒として飼っていたようで、その関係は現在まで続いています。
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日本史ライターみうらの独り言
縄文時代の食文化は「肉だけ食べていた」イメージでしたが、意外にも様々なものを食べていたことが遺跡からは伺えるようです。記録もない時代ですから、まだまだ分からないことも多いですが、技術の進歩により意外な縄文の食文化が見つかると面白いかもしれませんね。