NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で現在話題をさらっているのは、義経でも義時でもなく、梶原景時の配下になったアサシン善児です。
善児がこれまでに殺害したのは、千鶴丸から始まり、北条宗時、江間次郎、伊東祐親、伊東祐清と5人、特に伊東祐親はかつての主君ですが少しも躊躇せずに殺しました。
では、今後善児は誰に仕え誰をターゲットにするのでしょうか？
監修者
kawauso 編集長（石原 昌光）
姉妹メディア「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。
コンテンツ制作責任者
おとぼけ（田畑 雄貴）
PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、姉妹メディア「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。
この記事の目次
善児とは？
善児は元々、伊東祐親の雑色として仕えていました。雑色は貴人や豪族の身の回りの世話をし生産活動に従事する存在で、半官半民の存在であったようです。
しかし、お世辞にも高い身分とは言えないのは苗字を持たない点からも見て取れます。自分の財産となる領地も持たないようで祐親が領地を取り上げられた後は、食うに困り、人家に押し入って強盗に及び、畠山重忠に捕まっていました。
善児は武士ではなく、刀は使えるようですが主要武器は彫刻刀のような小刀です。決して名乗ったりせず、背後から近づいたり顔見知りに対しては偶然出会ったような顔をして相手を安心させ、首筋に刃物を突き立てて殺します。
ちょうど必殺仕事人の仲村主水のような殺し方を得意としていると言えます。
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今後の善児
畠山重忠が捕らえた善児は侍所所司の梶原景時に引き渡されました。景時は、善児が良心の呵責なく誰でも命令通りに殺す殺人マシーンである事に目をつけ、皮切りに善児の主君であった伊東祐親と祐清を殺害させます。
つまり、今後、善児は梶原景時の駒として、頼朝や景時にとって都合の悪い人間を暗殺していく事を運命づけられたと言えるのです。では、今後、善児に暗殺される人々を予想してみましょう。
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善児の殺すリスト1 上総広常
上総広常は上洛を志向する頼朝に対して批判的で関東の自立を主張した為、頼朝の命令を受けた梶原景時により、双六の最中に殺害されたとしています。
大河ドラマにおいては、この史実に従い梶原景時が広常を暗殺するのですが、これだけ人気が出た善児を使わない手はなく、脚本を変更するのではないかと思います。
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善児の殺すリスト2 梶原景時
梶原景時は頼朝一の家来として頼朝死後も二代将軍、頼家を支えて活躍しますが、他人の過失を逐一責めないと気が済まない性格を御家人に疎まれ、66人の御家人から弾劾状を突きつけられ失脚。
その後一族を率いて京都に行こうとしますが、駿河国清見関で、偶然居合わせた吉香友兼など現地の武士と諍いになり西奈の山上にて自害したとされます。
景時の失脚を図ったのは北条氏ですから、善児は時政か義時の支配下に入り、伊東祐親を殺した時のように元の主である景時を殺すのではないかと思います。恐らく祐親の時と同じように親しげに近づいて小刀を景時の脇腹に突き刺し抉るのでしょう。
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善児の殺すリスト3 源頼家
源頼家については、すでに阿野全成が占いで千鶴丸を殺した人間を殺さない限り、千鶴丸が転生した頼家は長生きできないと死亡フラグを立てています。
源頼家は比企能員の乱で、頼家の外戚だった比企一族を滅ぼした北条時政・義時の父子により捕らえられ将軍位を剥奪され伊豆の修善寺に流された後、風呂に入っている時に北条氏が放った刺客に殺されたとする話があります。
武芸の達人だった頼家は奮戦し、刺客は頼家の首に紐を巻きつけて絞め、さらに睾丸を握りつぶすか、切り取るかして絶命させるという陰惨な手法を取っています。これも善児により再現されるなら、大河ドラマ屈指の恐怖シーンになるでしょう。
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善児の殺すリスト4 頼家の御家人
頼家が伊豆で無念の最期を迎えてより、1年後、頼家の郎党が鎌倉に攻め入るべく謀反を企みますが、義時がそれを察知、現在は金窪行親と名乗っている善児と暗殺チームを派遣します。
この時の殺害方法は、吾妻鏡によるとまたたく間にとされているので、正々堂々と鎮圧するのではなく、頼家の御家人が寝静まる時を待って忍者のように侵入して一気に皆殺しにして引き上げたのかも知れません。
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善児の殺すリスト5 公暁
公暁は源頼家の遺児で、三代将軍実朝を鶴岡八幡宮で暗殺した人物です。彼は太刀持ちとして参加した源仲章を義時と誤認して殺害していますが、義時は事前に公暁の襲撃を知っていて、体調不良を理由に太刀持ちの役割を仲章に譲ったとも言われています。
そして、あえて源氏将軍の実朝を殺害させ、その後で公暁を善児を派遣して殺すシナリオも考えられるでしょう。史実で公暁を殺したのは長尾定景ですが、その辺りの改変はあり得そうです。
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善児の殺すリスト6 阿野時元
阿野時元とは、現在ドラマでラブラブ中の色坊主、阿野全成と北条政子の妹、実衣（阿波局）との間に誕生する全成の4男です。
成長して阿野時元と名乗っていた彼ですが、鎌倉幕府のゴッドマザー北条政子は実朝暗殺を受けて、北条氏が操縦しやすい傀儡将軍として京都から摂関家出身の幼少の将軍を迎える準備をしていました。
そこで政子は、今後、頼朝や義朝の子孫が反北条氏勢力に担がれないように殺してしまうか仏門に入れるかの処置を取り、阿野時元も謀反の濡れ衣を着せられて挙兵に追い込まれ、討伐軍としてやってきた金窪行親（善児）に殺害されたと記されています。これまでと違い暗殺ではありませんが、善児に殺された点に違いはありません。
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日本史ライターkawausoの独り言
あくまで予想ですが、殺人マシーン善児に殺される鎌倉殿の13人の登場人物は、六名+アルファという結果になりました。また、善児は史実において義時の手足となり侍所所司（次官）として活躍する金窪行親である事がほぼ確定しています。和田義盛を滅ぼして侍所別当（長官）になるのが義時で、その義時が善児を次官である所司の地位につけるのです。
となると、善児にとってもっとも自分を引き立ててくれた恩人は義時という事になりますが、一方で義時は兄の宗時、祖父の祐親を善児に殺されながら平然と善児を自分の駒として使う非情な権力者という事になります。
この義時と善児の主従の闇はかなり深いと言えるでしょう。
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